司法書士とインターネットと姫路~ある司法書士の一日~


 夜はまだ明けていなかった。朝5時に鳴るはずの目覚ましを4時50分に止めた。いつもボクを起こしてくれる目覚ましを今日はボクが眠りにつかせる。久々に凝視した5時前の朝を美しいと思った。

 インターネットというものが普及してから地方出張の機会はガクリと減った。正確に言うならば、インターネットを経由しての登記申請が普及してからであるが。便利なもので日本のどこの法務局にもインターネットを経由して登記の申請をすることが出来る。北は北海道であろうが、南は沖縄であろうが、愛知県から登記の申請をすることが出来る。世界が繋がることと引き換えに、世界に出向く翼をもぎ取られた。

 そんな思索に浸る隙を与えず、懇意にしている不動産業者から電話が入った。5時30分に駅前のロータリーで待っているとのことだ。今日は姫路で不動産登記申請の仕事が入っている。インターネットにもぎ取られた翼は期間限定で生えそろう。珍しく地方出張の機会が降りてきた。

 不動産業者と共に姫路に着いたのは、10時前だった。依頼者との待ち合わせ場所である、〇〇銀行はもう目と鼻の先。

 登記申請書類の確認をしながら依頼者と世間話を始めた。ボクは何の知識もなく姫路に来ていたようだ。世界遺産である姫路城は現在工事中とのこと。姫路城大天守修理見学施設「天空の白鷺」と大河ドラマの影響で以前よりも工事中の方が観光客が増えているとのこと。ボクは運が良かった。

 工事中の姫路城は、白鷺ではなかった。でも、工事のネットの合間から見える白い城壁はボクの目には眩しく映った。いつまでもこうして座っていたかった。同行してくれた不動産業者に話しかける。話しかけた事実は覚えているが話した内容は忘れてしまった。

 疲れ果てて戻った愛知県では細かい霧のような雨がひっそりと降っていた。明日からはいつものようにインターネットを経由して登記の申請をするのだろう。ボクの一日は絵の具のように日常に溶け込んでいった。

姫路城_R姫路城2_R

評議員 丸山洋一郎

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